シーン別・会食を成功させるビジネス英語表現

 
jordan-andrews-210619.jpg
 

外国の方のおもてなしって、難しいですよね。海外の取引先や関連会社の方が日本に来た時、会食に連れていくお店選びに苦労する方も多いと思います。宗教や個人的な信条からくる食材に関する制約だけではなく、食文化やマナーのとらえかたの違いもあり、直前になって色々リサーチをする方もいるのではないでしょうか。 ピンチはチャンス。食事を囲んでコミュニケーションを取ることは、どの文化圏でも打ち解けるための第一歩です。この記事で、おもてなしを成功させる英会話のキーフレーズについて学んでいきましょう。

食事の好みは素直に聞こう

もしかすると、相手の方は旅慣れていて、日本食に詳しいかもしれません。あるいは、日本の前に何カ国か回ってきていて、少し胃を休めたい気分かも・・・。色々想像して悩んでしまいがちですが、まずは相手にシンプルに聞いてしまうことが、無用なトラブルを防ぐ第一歩です。

“I’m going to book a place for dinner. Is there anything you have in mind?(予約を取ろうと思います。何か食べたいものはありますか?)

“Is there anything you don’t eat?(食べない/食べられないものはありますか?)

“Is there anything (that)….” という言い回しはこういう時に良く使います。特に食べられないものに関して聞くときは

”Are you a vegetarian?”

“Are you Muslim?”

などのパーソナルな情報を直接的に聞くことは出来るだけ避けましょう。食べられない「理由」ではなく「もの」を聞くことで、アレルギーなどの体質的な制約も含めて聞くことができます。

上記の表現は、ビジネスで使う際にも特に失礼はありませんが、メールやウェブサイトなど書き言葉の場合は”dietary preference”などのより堅い言い回しを使うこともあります。

メニューの説明

お店についたら、食事やドリンクを頼んでいきます。最近はメニューの英訳があるお店も増えてきたので、予約時に確かめておくのが安全です。それでも、特に和食のコアなお店になると、英語メニューを期待するのも無粋というもの。自分で説明できるにこしたことはありません。

ぐるなびや食べログ、Rettyなど、メニューを含めたお店の情報はインターネットで比較的簡単に手に入りますので、予め簡単に頭に入れておきましょう。ポイントは、食材と調理法をそれぞれ言えるようにしておくこと。相手の前提知識によっては、細かい風味などの方向性を伝えるのは母国語でも難しいので、ここは割り切ってしまいましょう。相手が気持ちよくオーダーできるように、最低限の情報を提供できればOKです。

生 -> raw

茹で -> boiled

蒸し -> steamed

炙り -> broiled

バーベキュー -> grilled

炒め -> stir-fried

揚げ -> deep-fried

窯焼き -> baked, roasted

このあたりを把握しておけば、調理法に関しては大体カバーできるでしょう。

注意しておきたいのは「焼く」という意図で”burn”を使わないようにすること。”burn”はどちらかというと「燃やす」という意味。例えば”burned fish”は「焼き魚」ではなく「丸焦げの魚」というニュアンスになってしまいます。多くの人は意図を汲み取ってくれるかと思いますが・・・中には「日本人はおこげが好きって聞いたことあるぞ!」なんて、真に受けてしまう人も出てくるかも?!

食材や飲み物に関しては、日本にしかないものも多いので、大体のカテゴリが伝わればそこまで神経質にならなくても良いかと思います。好奇心旺盛な方の場合、食べ物に関して色々な質問をしてくる場合もあるので、精一杯対応しましょう。筆者は以前、東京・恵比寿で行われた立食パーティでエビスビールが振る舞われていたときに、地名とビールの名前が同じ理由を聞かれたことがあります。恵比寿の地名はもともと、エビスビールの工場があったことから定着したもの。

"Yebisu beer originated in a brewery near here more than 100 years ago. It was so popular that they named the town after the brand.(恵比寿ビールは100年以上前にこのあたりにあった蒸留所で生まれました。あまりの人気に、町そのものの名前も変えてしまったのです)"

背後のストーリーがわかるとより美味しく感じるのは、万国共通です。

会計をスマートに

食事が終わったら会計です。相手の出身国にもよりますが、会計はクレジットカードがメジャー。アメリカなどの国と違い、日本では個々の会計をクレジットカード対応してくれない店がほとんどですので、注意が必要です。割り勘をする場合は事前に確認しておいた方が良いでしょう。

“Let’s split the bill.(米)”

“Let’s split the check.(英)“

といった、簡単な表現でOKです。

あなたが会計を持ちたい場合も、コミュニケーション力の見せ所。

“The dinner is on me.”

”This is my treat.”

と、相手の目を見ながら言いましょう。すると高い確率で、

“Are you sure?“

と聞いてくるので、

“Absolutely.”

“Yes. Please be my guest.”

などと念押ししましょう。上級者はウインクを混ぜてもいいでしょう(笑)。もちろん、笑顔を忘れずに!

ちなみに、ちょっとした番外編として。バーカウンターでお酒を買うタイプのお店の場合は、

“Let me buy you a drink.(一杯おごるよ)

という表現が良く使われます。もしおごってもらった場合は、

“Thank you. I’ll buy you the next one.“

お返しを忘れずに。ここは万国共通なところですね。

大切なのは笑顔

いかがでしたでしょうか。食事を通して、自分の国や住んでいる街の魅力を伝えることが出来たら嬉しいですし、仕事もうまく行きそうですよね。コミュニケーションの大きな部分は言語以外の部分、非言語コミュニケーションが占めます。笑顔を忘れないようにすれば、少しぐらい言葉につまっても、あなたのおもてなしが伝わるはずです!

Yoshiyuki Kakihara