【英語初級・中級者】英語をあきらめきれない人が使える英単語を増やす勉強法

 
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「新年度も始まり、今度こそ英語をマスターしたいけれど、膨大な未知の単語のどこから手をつければいいのか途方に暮れる……」「いつまでたっても英会話が上達しないのは、単語力に自信がないからだろうか……」

英単語の学習方法がわからず、単語集を手にしたまま悩んでいる人も多いのではないでしょうか。そもそもどれくらいの単語を覚えれば、日常的な英会話は成り立つのでしょうか?

英語の日常会話は、約3000語理解していれば98%は網羅できるといわれています。ちなみに、日本の中学校卒業時における英単語の到達目標数は1,500語程度、高校卒業時だと3,000語、また英検3級合格に必要な語彙数は2,100語です。

高校卒業までに習う3,000語が利用頻度の高い3,000語であるとは限りませんが、日常会話の基礎として必要な単語数は、それほど多くないことがおわかりいただけるかと思います。

もちろんネイティブはもっと豊富な語彙を使って会話をしています。諸説あるものの、その数は成人でおよそ20,000〜35,000語。この数字を見ると、気が遠くなるレベルに感じられるかもしれません。

しかし日本人の成人が普段の日本語会話で用いている語彙数は、およそ50,000語近くにのぼるといわれます。それだけの単語を私たちは日本語では使いこなしているのですから、英語でも「基本の3,000語」を核として、語彙を蓄積していくことは可能なはずです。

そこで今回は、英語学習の初級・中級者を対象にして、単語を覚えるときのコツや考え方、間違った覚え方、効果的な英単語勉強法をお伝えします。

<目次>

  1. 英単語の覚え方のコツ・重要な考え方

  2. 英単語の間違った覚え方

  3. 会話にこだわる英単語勉強法

まとめ

1. 英単語の覚え方のコツ・重要な考え方

まず、英単語の勉強を再開する前に、そもそもの覚え方のコツ重要な考え方をしっかりと頭にいれておきましょう。以下の5つをおさえておいてください。

画像を活用して、背景知識・文脈・状況のイメージ・感情と結びつける

英語の基本テキストでは、新しい英単語が写真やイラストと一緒に掲載されています。目や耳から入ってくる画像による情報は、文字だけの羅列情報と比べて何倍も受け入れやすく、脳に印象深く焼きつくからです。

新しい単語を覚えるには、このように、単語の意味にそぐう情景をイラスト化したりして強く意識する方法が効果的です。さらに、その情景に合ったBGMや効果音が聴覚面でもプラスされると、記憶の定着率は飛躍的にアップします。

このニーズにかなうおすすめの学習法として、Google画像検索が挙げられます。Googleの検索窓に単語を入力すると、そのイメージ画像が一瞬で多数表示されるため、単語を丸覚えするよりも、はるかに効率的に記憶に定着しやすくなります。

前置詞は絵で理解する

英語学習において、前置詞の使い方に苦労する声は多く聞かれます。

「その前置詞に対応する日本語をあてはめればOK」という普遍的な正解があるわけではなく、前置詞が表す“空間的な意味合い”を理解していないと、正しい英文理解にいたらないのが難しいところです。だからこそ、イメージや感覚を大事にしながら学習しましょう。

下記のサイトでは、各前置詞の特徴を比較しつつわかりやすくまとめています。一覧形式になっているので、この図を頭にいれておくと役に立つでしょう。

◆「英語における、場所に関する前置詞をまとめた画像が分かりやすいと話題に!

関心のある狭い分野の英単語から覚える

初学者が陥りがちな失敗は、「単語集だけ」で英単語をやみくもに覚えようとすることです。その作業の無味乾燥さから、頭に入りにくく学習効率が低下するとはよくいわれるところ。おすすめの学習法は、自分が関心のある領域のニュースを毎日読む習慣をつけることです。

たとえば広告業界に勤めているなら、マスコミ関係のニュースを毎日15〜20分読んでみましょう。わからない単語に出会ったらその場で辞書を引いて調べます。その際、わからなかった単語をメモしておくと復習に役立ちます。単語がわかると、文章の意味もある程度くみ取れて面白く感じるものです。

文章が理解できたということは、文法力も身につきつつあることの証。ニュースに触れるだけで、単語力と文法力、双方の向上につながり、業界に関する最新の知識まで入手することができます。

特に関心のある領域がない、という場合は、比較的やさしい英文のニュースサイトから始めるとよいでしょう。初学者がBBCやCNNにいきなり飛び込んでも、知らない単語や文法が多く読解に時間と手間を要するため、あくまで自分のレベルに合った教材を選ぶことが大事です。おすすめの2サイトをご紹介します。

JapanTimesST

Japan Today

単語に出会う機会を意識的に増やす

現在の日本には英語の翻訳本が豊富に出回っています。しかし皮肉なことに、これが、日本人と本場の英語との接点を奪う要因となっています。必要に迫られて英語を使い勉強する機会がなくなってしまうからです。

しかし文法書や単語集に頼った勉強の繰り返しは、記憶の維持が難しく、やる気も削がれがちです。たとえば自分の好きな作家で比較的容易な内容の洋書を選び、味わいつつ読み進めてみましょう。生きた英語とふれあい、語彙を豊かにする絶好のトレーニングです。

おすすめは、Graded Reader と呼ばれる読み物です。これは語彙数が限られ、レベルも何段階かに分けてあるため、自分のレベルに応じて選ぶことができます。 有名なシリーズを挙げます。

オックスフォード(Oxford)

ペンギン(Penguin)

英語と日本語の対応にとらわれず、曖昧さを許容する

表に英語、裏に日本語を書いた単語カードで暗記を進める人がいますが、英語と日本語はすべてが1対1の関係にはならないことに注意が必要です。またひとつの英単語に対し日本語訳が複数ある場合、それらの丸暗記にこだわりすぎるのも挫折の元になります。

そもそも英語を日本語訳するとき、曖昧な部分をわざと残したりぼかしたりすることが日本人の感覚によりマッチする場合もあります。また一語一句、日本語を対応させることに拘泥しすぎると、ぎこちなさや不自然さが際立つ訳文や会話になります。

むしろ英単語に対してイメージ映像を頭の中で描いて覚えると、忘れにくく、かつ臨機応変に適切な日本語が紡ぎ出される結果となります。

2. 英単語の間違った覚え方

次に、英単語学習において、私たちが当初やってしまいがちな間違った覚え方を紹介します。4つ挙げるので、ひとつでも当てはまることがないように注意してください。

「単語だけ」を覚えようとしている

人は何かのメッセージを受け止めるとき、言語情報7%、聴覚情報38%、視覚情報55%という割合で認識していくという法則があります(参考:メラビアンの法則)。言語の情報だけだといくら努力しても限界がある一方、視覚情報を併せて用いると、情景や状況が思い浮かぶため有効です。

具体的には、下記のやり方が挙げられます。 ・単語の語源を調べ、その語源から派生した意味をつなげていく ・複数の単語の例文をいくつか取り出し、ストーリーとしてつなげていく

この作業は一見むずかしそうですが、実際に最近のAmazonでの単語集の売れ行きを見ると、これらに着目した書籍が上位を占めています。2書籍をおすすめとして挙げます。

システム英単語 (駿台受験シリーズ)

DUO 3.0(鈴木陽一著/アイシービー)

また単語の学習を聴覚や視覚とつなげて行う重要性については、下記エントリの【英語力上達のコツ3】をご参照ください。

◆「【英会話の勉強法】英語に一度挫折した人が独学で上達する7つのポイント

覚える単語の数をやみくもに増やしている

初学者が陥りやすいのは、単語集を冒頭から最後まで「丸暗記」にいそしむ地道な作業を、単語の勉強の王道と思いこむことです。

しかし第3章で述べるように、類義語や語源といった単語間の共通性を上手に利用することで、系統的かつ効率的な記憶が可能となります。「300弱の接頭辞と接尾辞の組み合わせにより、10,000~20,000語以上語彙数を増やすことが可能」との指摘もあるほどです。

やみくもな詰め込みに心当たりがある場合は、暗記の方法の合理化を再考してみるとよいでしょう。

ひとつの単語に時間をかけ過ぎている(スピードやあきらめも大事)

「忘却曲線」とは、ドイツの心理学者ヘルマン・エビングハウスによって提唱された記憶に関する研究内容で、ある程度の間をおいて再び覚えると記憶の定着率が上がるというものです。

例えば、英単語を100個覚えたとして、そのまま何もしなければ1年後には90個以上は忘れてしまいます。しかし100個覚えて、ある程度の間をおき再び記憶するという行為を繰り返せば、記憶の定着率が上がるのです。しかも、2回目以降は覚えるための労力も少なくて済みます。

そしてこの忘却曲線は繰り返すほど平行に近い形となり、4~5回繰り返すことで曲線はほぼ平行になると言われています。このように、単語を記憶するためには「繰り返し」が非常に有効な手段となるのです。1回ですべての単語を記憶に留めるのは不可能に近いことを自覚し、日数をおいて暗記の繰り返しに時間を割くやり方が合理的といえます。

インプットで終わってしまっている

単語力の研鑽は、あくまで、生きた英語を使いこなすためのツールです。単語集の丸暗記に汲々としていると、断片的な知識は頭に入っても、実際の会話でまったく活かせないといった失敗につながりがちです。インプットとアウトプットの配分を常に意識しつつ、両輪がそろうよう勉強を重ねましょう。

弊社が提供する英会話学習アプリ「TerraTalk(テラトーク)」では、会話でよく使う単語が単語帳形式で場所・時間を選ばず学べます。また発音やリスニングの練習もでき、実際の英会話も楽しめますから、ぜひ有効活用してください。

3. 会話にこだわる英単語勉強法

英単語学習におけるコツと間違いをひと通り見てきたので、最後に、より具体的な勉強法を5つご紹介します。どれも「実際に話すことにつなげる」という視点で選んでおり、ひとつずつ掘りさげながらぜひ実践してみてください。

haveやgetなどの基本動詞を使いこなす

日本では中学の英語の授業で、do は「する」と訳すように教わっているので、何かというと do に依存する傾向があります。しかし英語で「・・・する」を表現するには、have、make、take、get 等の基本動詞を使います。これらを上手に用いれば、非常に多彩な動作を表現できるため、むずかしい単語を使う必要もありません。

have, make, take, give, getの5動詞についての詳細な解説としては、下記のサイトが参考になるでしょう。

◆「基本動詞をマスターしよう

類義語で覚える

関連する言葉をセットで覚えていると、それらの言葉をトリガーとして記憶を引き出し、思い出しやすくなります。類義語・反意語・関連語などをストーリーとしてつなげておくと、複数の単語をまとめて覚えることも可能です。

また英会話などで複数の表現法を知っていれば、それだけコミュニケーションの幅が広がるという効果があります。ひとつの英語表現しかできない場合、それは単なる「暗記」でしかありません。ネイティブに通じるコミュニケーション力をつけるためにも、ぜひ実践しましょう。

類義語辞典Thesaurus.comでは、見つかった類義語、反意語を簡単にソートして表示できます。またこれを活用した単語の勉強法は、本サイトの次のエントリで紹介しています。

◆「【英語中級者】爆速で英語脳をつくるたった1つの勉強法

分野別・シチュエーション別で覚える

覚えた内容に分野別の記憶を結びつけると、思い出す力が増します。また、会話ではシチュエーション別の記憶も重要です。

ただ単語を覚えただけならば、例えば「それをとって」と伝えたい時、“Can you get that for me?“ “Pass me please.“ “Could you pass it to me?“のどれが適切か迷いがちです。しかし、どんな場面・流れでこのフレーズが使われるのかを理解していれば、最適な表現を瞬間的に選び出すことができます。

英単語を分野別で覚えやすい教材としては、以下のようなものがあります。

TOEFL TEST対策 iBT英単語(高木義人著/テイエス企画)

1分間英単語1600(石井貴士著/中経出版)

また英単語をシチュエーション別に学びたいなら、以下のふたつのエントリがおすすめです。

◆「【ビジネス英会話】英語の電話対応に焦らずにすむ定番フレーズと基本パターン

◆「英語で自己紹介できますか?例文で学ぶビジネスフレーズ・単語・イディオム集

コロケーション(連語)で覚える

日本人は、「文法も単語も間違っていないけれど不自然な英文」を作ってしまいがちです。たとえば、「強い雨」を英語で表したくて“strong rain“と言っても文法的にはOKですが、実際にはあまり使われません。

これは、英単語を独立してばらばらに覚えることに精一杯で、「2つ以上の単語のよく使われる組み合わせ・自然なつながり」であるコロケーションを理解していないことが原因です。先ほどの「強い雨」の場合は、“heavy rain“がよく使われる組み合わせになります。

単語を暗記するときは例文でよく見かける組み合わせを覚えたり、英会話やリーディングの教材に気になる単語のつながり(連語)があれば、メモを取るなどして意識的に取り込むようにしましょう。

中級学習者以上になれば、手元にコロケーションの辞書(たとえばOxford Collocations Dictionary For Students of Englishなど)を一冊置いておくと便利です。

またよく使われるコロケーションの例は、このCommon Collocationsや、アルファベット別のCollocations Listで確認してみてください。

語源(接頭辞、接尾辞、語幹)で覚える

英単語の暗記に際して特に厄介なのが、長い単語です。しかし一見複雑でも、実際は何らかのパターンにあてはまっていることが多く、それを知っていると単語の意味を推測することができます。たとえ英語の上級者でも未知の単語に出会う場面は当然ありますが、そういった状況で役に立つのが語源(接頭辞・接尾辞・語幹)です。

日本語でも、「鮪」「鰹」の意味がわからなくても、魚偏がついているのを見て魚類と予想できます。これと同じ理屈で、接頭辞・接尾辞・語幹を知っていればいるほど意味の推測も簡単になっていきます。

たとえば、“rewrite(書き直す)“の接頭辞「re-」には「再び」という意味、“beautiful(美しい)“の接尾辞「-ful」には「〜に満ちている」という意味、“aquarium(水槽・水族館)“の語幹「aqua」には「水」という意味があります。

よく使われる接頭辞、接尾辞、語幹をまとめたサイトとしては、下記がおすすめです。

Common Prefixes, Suffixes and Roots(よく使われる接頭辞・接尾辞・語幹)

また、「つむぐ英単語」(河合塾SERIES)は、単語のパーツが持つ意味のイメージをはっきり示しており、派生語や関連語を覚えるのにも役立ちます。

言葉の機能と最新のツールを活用し、効率的な勉強を

「厚い単語集の丸暗記」が従来の英単語の勉強法でしたが、ここではより効率的で飛躍的に単語力が伸びる勉強法をご紹介しました。語源や連語など、言葉そのものの性質をうまく活用することで、無駄のない記憶が可能となります。同時に、Google画像検索やたくさんあるニュースサイトなど、情報社会ならではのツールも上手に使いこなしたいものです。

もっとも大事なのは、英単語はあくまで生きた英語のための手段だということ。実際の英会話を通しコミュニケーションができてこそ価値があります。アプリ等で単語力を養いつつ英会話を楽しむことで、勉強をつらく感じずに効率よく進めたいものです。

<参考文献>

「語源とイラストで一気に覚える英単語」(清水健二著/成美堂出版)

「TOEICテスト280点だった私が半年で800点、3年で同時通訳者になれた42のルール」(小熊弥生著/幻冬社)

「世界の非ネイティブエリートがやっている英語勉強法」(斉藤淳著/中経出版)

「レバレッジ英語勉強法」(本田直之著/朝日新聞出版)

<参照URL>

http://next.rikunabi.com/journal/entry/20160414_1

http://upgradeourenglish.com/vocabulary/google-image-search/

http://www.genius-lv.com/study3/genius18.html

http://www.rondely.com/tuben/JpnEng2.htm

http://eword.hisierra.net/contents/memory.html

http://mysuki.jp/english-memory-127

Yoshiyuki Kakihara